2008年3月3日月曜日

中国検疫当局 日本向け検査強化 大連港は輸出中断 「報復」との見方も

【北京29日高山昌行】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で日中の捜査当局の溝が深まる中、中国の検疫当局による日本向け輸出食品の検査が厳しさを増す一方、日系企業が多い中国東北部の大連では検査が中断し、事実上、輸出できなくなっていることが二十九日、分かった。業界関係者には「冷凍ギョーザが輸出できなくなったことへの報復」との見方も出ている。
 関係者によると、大連の日系企業には二月に入り、中国国家品質監督検査検疫総局から、農薬検査を強化するなどの通達が口頭であった。だが、変更内容の具体的な説明はないまま検査は中断。二月中旬以降、日本向け輸出食品の船積みができない事態が続いている。
 和風総菜を輸出している三島食品(広島市)の現地法人、大連三島食品は「実質的な輸出停止」と頭を抱える。
 冷凍ギョーザの製造元の天洋食品(河北省石家荘市)が輸出時に使っていた天津港では、天津検査検疫局がホームページ上で日本向け輸出食品の全品目をサンプル調査するなどの強化策を公表。青島や上海でも検査品目の拡大や期間の長期化などの影響が出ている。
 中国当局が「検査強化」をうたった理由について、日中関係筋は「ギョーザ事件の再発を防ぐ狙いがあるのではないか」とみるが、「報復」「嫌がらせ」と受け止める業界関係者も少なくない。
 一方、日本からの輸入食品についても中国製食品への不信が広がった昨年以降、検査期間が長期化。天津港に道産の魚介類を荷揚げしている丸水札幌中央水産の北京現地法人、札幌水稀(すいき)貿易は「昨年秋にはタラバガニの通関に一カ月もかかった。ギョーザ事件の影響でさらに検査が厳しくなるのは確実で当面、様子見をせざるを得ない」(佐竹易(やすし)社長)と話している。

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