2007年9月19日水曜日

配信記事掲載、賠償を 医療事故報道名誉棄損訴訟 通信社の責任は認めず 東京地裁

東京女子医大病院で二○○一年、心臓手術を受けた少女が死亡した事故をめぐる記事で名誉を傷つけられたとして、当時の担当医(業務上過失致死罪に問われ一審無罪)が、共同通信と、配信記事を掲載した秋田魁新報(秋田市)、上毛新聞(前橋市)、静岡新聞(静岡市)の三社に計約二千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は十八日、新聞三社に百十万-百六十五万円の支払いを命じた。  綿引穣裁判長は判決理由で、記事内容は真実ではないとした上で「三社は通信社から配信を受けたことだけを理由に真実と信じたことが相当とは言えない。記事は担当医の評価を著しく低下させた」と指摘。配信記事を掲載しただけの新聞社は免責されるという「配信サービスの抗弁」を認めなかった。  一方、共同通信については「担当医に過失の疑いがあるとした警視庁の発表などに基づき記事を書いており、事実関係を誤信したのには相当な理由があった」と認め、請求を退けた。  判決によると、共同通信は○二年七月に「最悪の事態、なぜ?」などの見出しで記事を配信、新聞に掲載された。  綿引裁判長は、担当医が人工心肺装置の基本的な操作ミスで事故を起こしたという記事の主要部分は真実でないと判断。  掲載記事には共同通信のクレジットがなく、新聞社自身の記事と区別できないとも指摘し「共同通信に真実と信じる相当の理由があっても、新聞社が真実と信じる相当な理由があるとか、通信社の主張を援用できることにはならない」とした。  担当医は○五年十一月「事故の直接原因は人工心肺装置のフィルターの目詰まりで、事故は予見できなかった」として、東京地裁で無罪判決を受け、検察側が控訴している。(北海道新聞 引用)

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