2007年9月26日水曜日

「背水」でも新味なし 福田内閣発足 道内各界、視線厳しく

参院選での歴史的大敗を受け、自民党が「背水の陣」(町村信孝官房長官)で臨む福田内閣が二十五日夜、スタートした。調整型の手腕を買われての登板だが、テロ特措法の延長や政治とカネの問題、地方の疲弊など課題が山積する中、各界の道民は厳しい視線を注いでいる。  再任の閣僚が多数を占めた内閣に対し、地域情報誌「すすきのTOWN情報」を発行する「あるた出版」の平野たまみ社長は、「福田カラーを抑え、少しでも波風立てないようにという意識が働いたよう。政策に精通した人を選んだとは思えない。党立て直しや国政の課題に対処できるのでしょうか」と懐疑的だ。  「安定感をねらったのだろうが、それが国民の望みだろうか」。地方分権などで積極的発言を続ける空知管内奈井江町の北良治町長も、閣僚の顔ぶれに落胆を隠さない。  北町長は、安定した年金や医療システムの構築と、地域間格差を生み出す構造的な問題の是正を危急の課題に挙げ、「新内閣(の人選)にはそうした未知の難題を打開しようとする理念が感じられない」と語る。  道内農業に大きな影響を与える世界貿易機関の貿易交渉の行方も気がかりだ。中標津町農協(根室管内中標津町)の高橋勝義組合長は「新内閣には日本の農業者と消費者のことを第一に考え、日本の農業をどう守り育てるか。明確なビジョンを示してほしい」と要望した。  辞任が相次ぎ、安倍政権では鬼門となった感のある農水相ポストには若林正俊さんが再任。「代打専門だった人がいよいよ先発メンバーに入ったのだから」と、期待感をにじませた。  安倍政権では政治とカネをめぐる問題が噴出し、参院選の惨敗にもつながった。北海道市民オンブズマン連絡会議の橋本勝三郎監事は「公費は全面公開すべき。政治資金は、一円から領収書を義務づけるよう新首相には指導力を発揮してほしい」と注文。「万一また(不明朗な問題が)発覚すれば、解散して国民に信を問うべきだ」と話す。  北大公共政策大学院の中島岳志准教授は「メッセージ性を感じるのはテロ特措法延長に向けた石破防衛大臣の入閣くらい。派閥均衡人事でビジョンが見えない」。  アジア重視外交のハト派とされ、穏健なイメージの新首相だが、中島准教授は「イラクの邦人人質事件では自己責任論の立場を取った人。小泉内閣を支えた人でもあり、格差問題などでどのようなスタンスを取るか不透明」とし、「きっちりとした論戦を国政の場に取り戻せるかが焦点となる」と指摘した。 (北海道新聞 引用)

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